一家に1枚「ウイルス」

自然環境から人間社会へ

ウイルスが人間社会へ入る原因のひとつ、自然宿主からのスピルオーバー

ウイルスの自然宿主とは?

「自然宿主」は統一された定義がなく、文脈により定義が異なる言葉です。例えば、ほとんどのインフルエンザAウイルスの主要な自然宿主は水鳥(水禽類)で、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルスの自然宿主はコウモリだと考えられています(1、2)。ウイルス学研究においては、とあるウイルスの自然宿主とは「そのウイルスが長期間、感染し続けることができる生物」などとされることがあります(2)。また、自然宿主は他の宿主と比較して、その宿主集団内で見られるそのウイルスの遺伝的多様性が高い、などの特徴があるとも考えられています(2)。

スピルオーバーとは?

自然宿主から自然宿主でない生物へウイルスが直接うつることを、スピルオーバーと呼びます。スピルオーバーは、ウイルス感染症発生の一因です。例えば、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)はコウモリからのスピルオーバーがきっかけとなり発生した可能性が示唆されています(3)。また、海外では高病原性鳥インフルエンザウイルスの鳥(家禽など)からヒトへのスピルオーバーも確認されています(日本ではヒトにおける鳥インフルエンザの発症は確認されていません)(4)。