一家に1枚「ウイルス」

ウイルスの研究・活用

ウイルスを使って病気を治療する!?

ウイルスベクターを脊髄性筋萎縮症の治療に使う

ウイルスベクターは、細胞に遺伝子を導入する際の「運び屋」で、ウイルスが細胞に感染する仕組みを利用した遺伝子導入のツールです(1、2)。レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなど、様々なウイルスを活用したウイルスベクターが存在します。ウイルスベクターは病気の治療にも用いられています。
脊髄性筋萎縮症は、脊髄の運動ニューロン(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示す難病です(1)。脊髄性筋萎縮症で変異してしまっている遺伝子の機能を補充するため、正常なこの遺伝子を体外から導入する遺伝子治療に、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子治療用ウイルスベクターが用いられはじめています(2)。

ウイルスを神経膠腫の治療に使う

神経膠腫は脳腫瘍の一種で、原発性脳腫瘍のおよそ4分の1を占めています(3)。がん細胞に感染し、がん細胞のみを特異的に破壊する改変ヘルペスウイルスを用いたウイルス療法が、悪性神経膠腫の治療に用いられはじめています(3)。

悪性神経膠腫の治療にウイルスを活用:画像
悪性神経膠腫の治療にウイルスを活用