一家に1枚「ウイルス」

ウイルス感染症と社会

感染症の侵入を防げ!水際対策

検疫とは

検疫とは、感染症の病原体が新たな地域へ侵入したり、感染症がまん延したりするのを防止するため、港(空港を含む)で人や貨物(動植物を含む)、乗物の検査を行い、必要な措置をとることをいいます(1)。英語では「quarantine」と表現しますが、イタリア語で「40」を意味する「quarantena」および「40日」を意味する「quaranta giorni」が語源とされています(2)。これは、最初の検疫が14世紀イタリアでペストの流入を防ぐため、来航した船に港の外で40日間待機させたことと関わっています。人の検疫だけでなく、動物や植物の検疫などがあります。

人の検疫

検疫所では、日本に入国(帰国)するすべての人に対して検疫を行います。サーモグラフィー等を用いて発熱の有無を確認するとともに、発熱や咳などの症状がある人、体調や健康に不安のある人を健康相談室へ誘導し、その症状とともに、滞在した国が感染症の流行国かどうか等を確認します。 その結果、検疫感染症に感染している疑いがある場合は、必要に応じて検査を行い、適切な医療機関を紹介します。また、検疫感染症に感染している患者を発見した場合には、必要に応じて隔離、停留、消毒等の防疫措置を行うとともに、貨物や機内などで捕獲された媒介動物についても病原体の有無を検査し、必要に応じて防疫措置を行います。

動物の検疫

動物の検疫は、海外から輸入される動物、海外で作られた食品を介して産業動物の感染症が国内に侵入することを防ぎ、また、日本から海外への感染症拡大を防止することなどを目的に行われます。また、イヌやネコなどの伴侶動物(ペット)に対しても行われますが、これは狂犬病ウイルスなどヒトにも感染する病原体が侵入しないように防ぐために行われます。

動物検疫に関わる法律および検疫の対象物(3)

関連法令 検疫の対象物
家畜伝染病予防法 1.偶蹄類の動物、ウマ、家きんとその卵、ウサギ、ミツバチ、イヌ
2.これらの動物の骨、肉、皮、毛等、ソーセージ、ハム、ベーコン
3.穀物のわら及び飼料用の乾草
感染症法*1 サル*2
輸入が禁止されている動物:
イタチアナグマ、コウモリ、サル、タヌキ、ハクビシン、プレーリードッグ、ヤワゲネズミ
狂犬病予防法 イヌ、ネコ、キツネ、スカンク、アライグマ
水産資源保護法 サケ科魚類、コイ、フナ属魚類(キンギョ等)、コクレン、ハクレン、アオウオ、ソウギョ、ナイルティラピア、マダイ、クルマエビ科エビ類、サクラエビ科アキアミ属エビ類、テナガエビ科エビ類、とトコブシ、フクトコブシ、エゾアワビ、クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ、マガキ属カキ類、ホタテガイ、マボヤ

*1感染症法:正式名称「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」です。

*2サルは基本的にはすべての国からの輸入が禁じられているが、実験用または展示用に限り、次の国からの輸入の際に検疫を受けることを条件に認められている:アメリカ合衆国、インドネシア共和国、ガイアナ協同共和国、カンボジア王国、スリナム共和国、中華人民共和国、フィリピン共和国及びベトナム社会主義共和国

植物の検疫

植物の検疫の目的の一つは、植物の病害虫などの侵入・植物の病気のまん延を防ぐために行われます。