一家に1枚「ウイルス」

ウイルスの研究・活用

ウイルスが再生医療を支える!?

ウイルスベクター

ウイルスベクターは、細胞に遺伝子を導入する際の「運び屋」で、ウイルスが細胞に感染する機構を利用した遺伝子導入のツールです(1、2)。レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなど、様々なウイルスを活用したベクターが存在します。ウイルスベクターは細胞生物学研究や病気の治療などに用いられています。

iPS細胞の作成にウイルスベクターが用いられた!

iPS細胞と呼ばれる人工多能性幹細胞は、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ細胞で、再生医療や創薬などに重要な役割を果たすと期待されています(3)。iPS細胞は山中伸弥教授のグループが世界で初めて作成し、2006年に論文として発表しました(4)。世界で初めてのiPS細胞は、マウスの皮膚細胞(線維芽細胞)に4つの遺伝子を導入することで作成されました。この遺伝子導入の際、レトロウイルスベクターが使用されました(3)(注1)。ウイルスベクターは、再生医療研究にも貢献した研究ツールなのです。

iPS細胞の塊:画像
iPS細胞の塊(写真提供:小嶋将平(理化学研究所))