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eQTL解析プロジェクト―遺伝情報と免疫機能を統合する

疾患に関与する多くの遺伝子変異は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって同定されてきました。生殖細胞系列の遺伝子変異に着目することで、観察される現象(疾患)とその病因との因果関係への理解が深まります。なお、GWASで同定された疾患関連遺伝子変異の大多数は染色体の非翻訳領域に位置し、遺伝子の発現量を制御する領域、すなわちeQTL(Expression-Quantitative Trait Locus : 発現量的形質遺伝子座)として機能していることが報告されています。従って、トランスクリプトームおよび細胞特異的エピゲノムの定性・定量分析結果をゲノム情報と統合することが、免疫が介在する疾患における免疫担当細胞の病因因子をより良く理解することにつながります。

現在、私たちは健康人の末梢血単核細胞サンプルから様々な白血球サブセットを取得するシステムを立ち上げています。健康人ドナーのサンプルを用いることにより、バイアスを可能なかぎり抑えたうえで遺伝子型と遺伝子発現との関連性を明らかにできることが期待できます。まず白血球をFACS(蛍光活性化セルソーティング)によって約30のサブセットに分離します。次に、遺伝子の応答をダイナミックに観察するため、分離された細胞を定常状態だけでなく、サイトカインや細胞表面受容体に対するアゴニストを用いて刺激した状態でも分析します。また、遺伝子変異の同定およびRNA-seqを実施し、その情報を基にeQTLや選択的スプライシングと関連するSplicing QTL(量的形質座位)を特定します。さらにそれぞれのサブセットをCAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法、ATAC-seq(Assay for Transposase-Accessible Chromatin Sequencing)法、および複数のヒストンマーク分析法で分析することが、遺伝子変異とその発現における因果関係を解明する強力な武器となります。

eQTL解析プロジェクト―遺伝情報の免疫機能への統合

図:eQTL解析プロジェクト―遺伝情報の免疫機能への統合

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