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国際がんゲノムコンソーシアムとがん種横断的な全ゲノム解析プロジェクト

国際がんゲノムコンソーシアム(International Cancer Genome Consortium:ICGC)は2007年に設立され、データガバナンスや倫理面での課題、実務上の困難などに直面しながらも、所期の目標としていた2万5000症例の未治療原発がんゲノム解読(25K イニシアティブ)を達成し2018年に使命を終えました。この研究を通じ、がんゲノムの国際的なデータ共有が可能になり、多種のがんの包括的ゲノムデータを世界に提供しました。また、2期目として、ICGCは2014年にがん種横断的な全ゲノム解析プロジェクト(Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes: PCAWG)を立ち上げました。PCAWGでは、全ゲノムシーケンス解析(WGS)データおよび2834人のドナーから得られたRNA-Seqデータを、同一計算環境とクラウドコンピューティングを用いた標準化パイプラインにて分析しました。理研は、本プロジェクトのテクニカル・ワーキンググループの一員として、また本プロジェクト内の複数研究プロジェクトにおいては研究主催者(PI)・研究員として貢献してきました。理研グループは、がんWGSデータのなかで特にミトコンドリアゲノム(mtDNA)の変異に注目し、体細胞においてミトコンドリアDNAががん細胞の核ゲノムに移行する現象や、特に腎がんにおいては、タンパク合成が途中で中断される変異がmtDNAに高い遺伝子頻度で過剰に蓄積することを解明しました。PCAWG は、2020年2月にネイチャー誌とその姉妹誌に20報以上の論文を上梓しました。

体細胞においてmtDNA(MT)が核ゲノムに移行した現象のCircosプロット(膀胱がんゲノム)

図:体細胞においてmtDNA(MT)が核ゲノムに移行した現象のCircosプロット(膀胱がんゲノム)
ヒト染色体とMTを外側に描いています。また染色体再配置を灰色で、MTの核ゲノムへの移行を赤色の曲線で、それぞれ示しています。

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