ヒト免疫遺伝研究チーム

私たちの研究室は免疫疾患の発症リスクの遺伝的制御を解明することを目指し、多彩なテーマの研究を行なっています。これらの研究成果によって免疫疾患の発症リスクに直結する病態が明らかになると期待されます。

 

I. 機能ゲノム学

ヒト免疫疾患の発症リスクの遺伝的制御を明らかにするため、我々は機能ゲノム学研究を行ってきました (Ishigaki et al. Nat Genet 2017)。近年、機能ゲノム学研究をさらに拡大して、CRISPR-Cas9技術の活用によるゲノム編集実験、single cell eQTL解析、多層オミックスデータ解析などを行なっています。

 

II. T cell receptor (TCR) 

HLA遺伝子多型は免疫疾患の最大のリスク因子です。近年、我々はHLA遺伝子多型がTCRの超可変領域であるcomplementarity determining region 3 (CDR3)のアミノ酸組成を大きく修飾することを発見しました。さらに、このHLA遺伝子多型によるTCRの修飾が、病因抗原(関節リウマチにおけるシトルリン化抗原など)に対する反応性を高めていることを示しました(Ishigaki et al., Nat Genet 2022)。また、別の研究プロジェクトにおいて、新しい解析アルゴリズムを開発することで、制御性T細胞のTCRのアミノ酸パターンの特徴を捉えることに成功しました(Lagattuta et al., Nat Immunol 2022)。

 

III. 臨床応用

Polygenic risk score (PRS)は個人レベルの遺伝的リスクを予測するスコアです。近年、我々はPRSを計算する新しい解析アルゴリズムを開発しました (Amariuta and Ishigaki et al. Nat Genet 2020)。この研究をさらに拡大することで、PRSの臨床的有用性の評価を行なっています。