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乳がん予防薬の効果に関連する遺伝子を同定

2013年06月14日 PRESS RELEASE

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、乳がん予防薬の効果と関連がある2カ所の遺伝子領域を新たに発見しました。これは、統合生命医科学研究センター(小安重夫センター長代行)基盤技術開発グループの久保充明グループディレクター(副センター長兼務)、メイヨークリニック(米国・ミネソタ州)ジェームズ・イングル氏他の研究グループによる成果です。

研究グループは、タモキシフェン、ラロキシフェンを用いた乳がん予防効果に関する臨床研究に参加した約3.3万例の中から乳がんを発症した592人の患者と乳がんを発症しなかった非患者1,171人について、ゲノムワイド関連解析を実施したところ、遺伝子ZNF423およびCTSO内、もしくはその周辺にあるSNP(一塩基多型)が、乳がんの発症リスクと関連がある遺伝子であることが明らかになりました。

この2つの遺伝子を発見したことにより、この遺伝子に好ましい変化がある人は、より予防薬の効果が表れることが明らかになりました。一方、2つの遺伝子の両方に好ましくない変化がある人には、薬が効きにくく、乳がんの発症率も5倍に上昇することが分かりました。

今回の発見により、乳がん予防薬を適切な人に投与することが初めて可能になりました。さらに、タモキシフェンとラロキシフェンが乳がんの予防にどのように作用しているかということを新たに知る上でも重要な発見となりました。

本研究成果は、6月13日付の米国がん学会発行の専門誌、Cancer Discoveryに掲載されました。

詳しくは、メイヨークリニックの発表ページ及び米国国立衛生研究所(NIH)国際薬理遺伝学研究連合(PGRN)の発表ページをご覧ください。