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センター発足から2001年12月までの研究成果

2002年07月20日 NEWS

遺伝子多型研究センターは、大量SNPタイピングデータに基づき、統計学的考察を踏まえて疾患等関連遺伝子を探索することを目標としております。  発足からの2年間は、特に高速大量SNPタイピングシステムを確立する基盤整備に力を注いで参りました。

疾患等関連遺伝子研究チームにおいては、医療機関と連携し、国の指針に基づくインフォームドコンセントに従って患者試料の収集を行い、各疾患毎に数百から千単位の症例の試料収集を行っています。

タイピング研究・支援チームでは、疾患等関連遺伝子研究チームによって収集された試料のSNPタイピングを行い、これまでに約2300万SNPタイピングを終了し、p値が0.0001以下の有意な相関を示すSNPを各疾患毎に10種類ずつ程度、見いだしています。この中には、SNPの遺伝子型が直接遺伝子産物の量や質に影響を与えることが証明されたものもあり、疾患関連遺伝子の有力な候補と考えられます。また、薬剤に対する応答性や生活習慣病との関わりが指摘されている約200種類の薬剤代謝酵素・薬剤トランスポーター・薬剤レセプターなどのSNPのスクリーニングを行い、これまでに約180種類の遺伝子のスクリーニングを終了し、6000のSNPを同定しています。(薬剤代謝酵素関連遺伝子における新規SNPの同定

遺伝子多型情報解析研究チームでは、各疾患等関連遺伝子研究チームを支援するため、一連のデータフロー(タイピングアッセイ生データのプロット、タイピング結果の更新、実験アッセイの統計的検定、相関解析による候補SNPの抽出、ゲノムデータベースへのマッピング)を全自動で行うシステムを構築し、環境要因や複合要因を検討するための設計も検討しており、疾患関連遺伝子と疾患関連SNPおよび当該SNPと疾患の症状・副作用を含む薬剤応答性等に係る情報を整理する体制づくりを進めています。

さらにタイピング研究・支援チームとその他の研究チームが協力して、遺伝子多型を解析する技術の向上をはかり、各種の解析技術について検討しました。その結果、Multiplex PCRとインベーダー法の組み合わせにより、1日に約45万SNPタイピング(年間約1億SNPタイピング)が可能なシステムの構築に成功しました。(世界最速タイピングシステムの開発