Sections 組織・部門紹介

組織

IMS では、ゲノム機能医科学研究部門、ヒト免疫医科学研究部門、疾患システムズ医科学研究部門、がん免疫基盤研究部門の4部門が協力し、既存の枠組みを超え、 革新的な次世代医療の実現に向けた研究に一体となって取り組んでいます。

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詳しくは、理化学研究所(本所)のWebサイトをご覧ください。

部門紹介

ゲノム機能医科学研究部門研究室の一覧を見る
「ゲノム」を起点に、多種多様なヒト細胞と疾患発症のメカニズムを解明する。

ゲノムは生命の設計図であり、遺伝子発現がどのように制御されているのかを知ることは、細胞や組織・器官の状態、そして、健康と疾患の理解に欠かせません。当部門では、ゲノムを起点に多種多様なヒト細胞の状態を把握し、疾患に関わる生物学的メカニズムを解明していきます。さらに、ヒトの恒常性機能を破錠させる過程を、個人の遺伝的背景を踏まえて統計学的に解析し、疾患の多様性を理解することで、新たなゲノム創薬手法の開発とゲノム医療の実現を目指しています。
現在、独自開発した「1細胞解析技術」や「ncRNA-クロマチン相互作用解析技術」を用いて、遺伝子発現を制御するメカニズムの解明に取り組んでいます。1細胞解析技術は、これまで集団として解析することしかできなかったがん細胞を、特定のターゲット細胞に絞ることができ、がん細胞の持つ複雑なメカニズムの精確な理解につながると期待されています。
また、個人が持つゲノム情報の違いが、どのように疾患の「なりやすさ」や薬剤への反応に関わるのか。その遺伝的発症メカニズムは、ほとんど解明されていません。高精度のヒトゲノムデータを中心として様々な生体データベースを統合させ、これまでの規模を大きく上回るゲノム解析を行うことにより、疾患発症メカニズムの理解に貢献していきます。
大規模なゲノム解析を推進するために、国際共同研究にも主導的に参加。当部門の部門長らが主催する国際ゲノム解析プロジェクト「FANTOM」では、ncRNAの同定と機能解析を進め、世界初となる機能性ncRNAカタログの作成を目指しています。また、ヒトの全細胞の特徴と位置情報をカタログ化することを目的とした国際連携プロジェクト「HumanCell Atlas」でもコーディネートを務めています。こうしたカタログと統合的なデータベースによって免疫と疾患メカニズムの理解を進め、将来的にはゲノム情報に基づいて個人個人に“最適”な医療を実現できるように、エビデンスの創出を目指していきます。
ヒト免疫医科学研究部門研究室の一覧を見る
ヒトの免疫の研究基盤を構築、免疫システムの基本原理に挑む。

本来からだを守るはずの免疫システムが破綻すると、リウマチや筋炎、血管炎といった自己免疫疾患、ぜんそくなどのアレルギー疾患、易感染性といった免疫不全症など、様々な疾患の原因となります。 免疫がかかわる疾患の根本的治療法を確立するためには、ヒトの免疫システムを包括的に理解することが必要です。これまでの免疫学研究は、主に実験モデル動物としてのマウスを利用して行われてきました。しかし、マウスとヒトでは、免疫システムの原理自体は共通していても、その構造は大きく異なっていて、実際にマウスを用いて得られた研究成果を、ヒトに応用するには、多くの課題が残されているのです。
ヒト免疫医科学研究部門では、ヒトの疾患研究を支えるために、ヒトとマウスを比較しつつ、双方の異同を検証する、研究基盤を構築していきます。
ひとつが、ヒトにおける免疫応答を研究する基盤をつくること。これまで、ヒトの疾患と関連しうるゲノム情報が得られても、具体的にどのようなメカニズムで疾患の発症に至るのか、わからないままでした。そこで、実験動物では解析が難しい、ヒト集団での多様性に注目し、ヒトのゲノム機能、エピゲノム、プロテオームを中心とした多層オミックス機能解析を推進、ヒトとマウスでの違いを比較し検証していきます。
もうひとつが、未だ解明されていない免疫システムの基本原理を探究し、ヒトの免疫研究に役立てること。ヒトの免疫システムを根本的に理解するためには、免疫における未知の中心的課題に、実験モデル動物や細胞系など様々な実験手法を用いて挑戦していくことが、必要不可欠です。
さらに、ヒトの免疫系をマウスで再現した「免疫系ヒト化マウス」を開発していきます。モデルマウスなどの実験系で得られた知見を、免疫系ヒト化マウスを用いて、生体レベルで効率的に検証する、新しい研究基盤を開発し、ヒト免疫学の発展に大きく貢献していきます。
疾患システムズ医科学研究部門研究室の一覧を見る
環境と生体―疾患を「システム」としてとらえる新しい研究分野を創成。

私たちの体はとても頑強な恒常性を保ち、少々の内的・外的環境の変化に対しては復元する力が働きます。しかし、この恒常性が破綻してしまった場合、疾患の発症につながることがあります。 環境からの外的ストレスは、皮膚や腸、気道といった外界と体との境界バリアによって最初に受け止められます。境界バリアは、日々揺れ動く環境変化を吸収するだけではなく、体内の恒常性とも協働するなどの様々な仕組みによって、機能を安定に維持することがわかってきました。
しかしながら、受け止めきれないほど大きな環境変化によっては境界バリアが崩れることもあります。その場合、病原体などの外敵が侵入すると、体内の免疫系に伝えられ、生体を外敵から防御するシステムが動き出します。侵入した病原体と戦うために、炎症反応という一連の免疫反応が起こるのです。
さらに、そのような環境の変化が長期化し、炎症反応が慢性化すると、免疫系は、神経系、内分泌系など、身体中の臓器と関係して、糖尿病などの生活習慣病や循環器疾患、神経性疾患といった様々な疾患につながっていくこともわかってきました。 疾患の発症には、外的な環境ストレスの他に、ヒトが生まれながらに持っている遺伝的な違い(遺伝要因)、年をとることに伴う体の変化(加齢要因)、など複合的にいろいろな要因が体内の恒常性のバランスを変化させ、影響しています。 このように、複数の要因が複雑に絡み合う疾患の発症過程を明らかにするためには、遺伝子レベルから個体レベルまで、多階層で起こる発症過程を繋ぎ、一体化して捉えられるようなモデルを生み出す必要があります。
当部門では、生体と環境の相互作用に着目して、慢性炎症のメカニズムの理解を目指します。特に、これまで困難だった時系列での多階層的な計測、データ収集を行ない、統合、モデル化するとともに、現象をシミュレーションするための技術開発を進め、新たな研究領域の創成を目指します。 さらに、ヒトの疾患データとマウスのデータを比較検討し、疾患発症までの道筋を解き明かすことを目指しています。
がん免疫基盤研究部門研究室の一覧を見る
「がん細胞」をモデルに、新たな免疫システムの原理に迫る。

自己細胞の変異体であるがん細胞、ゲノム機能、免疫システムの関係に焦点をあて、がんの根治にむけて、次世代型の新しい免疫治療法の研究開発に取り組むのが、がん免疫基盤研究部門です。
ヒトが本来持っている免疫システムを利用してがんを治療する方法は、がん免疫療法と呼ばれ、これまでに様々な方法が提案されています。
生体には、先天的に備わった「自然免疫」と生後獲得していく「獲得免疫」があり、多くの免疫細胞が連携して働いています。がんの治療には、一種類の免疫細胞だけでなく多くの免疫細胞を活性化させる方が、効果が高いことが知られています。当センターでは、これまでに、自然免疫と獲得免疫の両方を活性化することのできる治療法(エーベック)を開発してきました。 また、ヒトの白血病の病態をマウスの体内で再現した実験モデルマウスの開発にも取り組んでいます。このモデルマウスを利用して、異常増殖する白血病細胞の元となる「白血病幹細胞」の特徴を詳しく調べ、新しい治療法を開発。また、iPS細胞を利用した、新しいがん治療法の開発にも取り組んでいます。
さらに当センターでは、がんに特異的なゲノム配列の解読にも取り組み、診断への応用に取り組んできました。 しかし、がんが悪性化する仕組みや、がん幹細胞とがん組織の関わり、がんが免疫システムを回避する仕組みなど、がん免疫の領域にはまだ解明されていない根本的な問題が多く存在しています。
当部門では、がんのゲノム解析、がんの治療モデルとなるマウスの作製といった基盤研究をすすめていきます。さらにがん組織の一細胞ごとの遺伝子発現を解析してがん細胞についての理解を深めます。また、がん免疫のメカニズムを解き明かすためにがん細胞と免疫細胞がどのように関わり合うのか、調べていきます。このように多角的・多層的に研究を推し進めることで、新たな治療のブレイクスルーとなりうる、がん免疫の原理を導き出すことを目指します。