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免疫不全症研究への取り組み- 子供の健やかな成長を願って -

恒常性医科学研究部門 / 統合計測・モデリング研究部門 / 医療イノベーションプログラム

免疫不全症とは、生まれながら、免疫不全になっている場合と、ウイルス感染によっておこる免疫不全症とがあります。生まれながらの免疫不全症(原発性免疫不全症候群)は、細菌やウイルスの排除に大切な免疫系のどこかに、出生直後から問題のある病気の総称です。病気の種類は、現在150以上知られ、日本では、出生1万人に対し毎年1人くらいの割合で発症します。

原発性免疫不全症候群では、細菌やウイルスへの抵抗力が低下し、適切な治療がなされないと、命に関わる重症感染や生活に支障を来す障害を残す危険もあります。なるべく早い時期に診断を確定し、治療を開始することが、予後に大きく影響します。

原発性免疫不全症候群は免疫に関連する遺伝子が何らかの原因で働かなくなったために起こると考えられています。現在、これらの遺伝子機能を解析することで、診断を確定することが可能で、適切な治療法を選択するためにも役立ちます。しかし、いまだ、原因がわかっていない病気もたくさん残されています。IMSは、このように、いまだ多くが原因不明で治療法が確立していない、生まれながらの免疫不全症を明らかにするための研究体制を作りました。

関連リング

難病情報センター

原発性免疫不全症を疑う10の徴候

IMS のとりくみ

我が国では、全国の原発性免疫不全症専門医の方々が、協力してこの病気に取り組み、 原発性免疫不全症候群の疫学調査や病態解明、診断、治療に関する研究を実施してきました。 しかし、原発性免疫不全症候群の原因は多種多様であり、研究を拡大し深めて行くには、より広範なゲノム研究と免疫研究、 臨床研究の連携が求められていました。このような背景の下、IMSは、財団法人かずさDNA研究所と全国13大学の臨床専門医の方々 *の 協力をあおぎ、原発性免疫不全症候群の理解の手助けとなり、より迅速で正確な診断と治療法を実現することをめざし、 活動しています。臨床情報と基礎解析データを統合した、 原発性免疫不全症の診断・治療のためのデータベース(PIDJ) は、臨床の第一線の医師、かずさDNA研究所の先進的なヒト遺伝子解析技術、IMSの免疫・血液研究基盤、そして患者さんとそのご家族、 との密な連携の下に運営されています。

また、国内のみならずアジアでの研究者、臨床家と連携し、情報や技術を共有し、より有効な診断治療の確立を目指しています。 アジアの原発性免疫不全症の問題の解決を目指した 情報基盤 (RAPID) を インドのバイオインフォマティクス研究所と共同で構築し、公開しています。
これらの活動は、原発性免疫不全症候群の根絶を目指すアメリカの Jeffrey Modell 財団に認められ、支援を受けています。

* 厚生労働省の難治性疾患克服研究事業「原発性免疫不全症候群に関する調査研究」調査研究班の以下の 13大学がこの共同研究プロジェクトに参加している。
宮崎大学・岐阜大学・名古屋大学・九州大学・広島大学・金沢大学・富山大学・東京医科歯科大学・東北大学・北海道大学・京都大学・信州大学・防衛医科大学校

PIDJネットワークの説明図

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