ゲノム免疫生物学理研白眉研究チーム

 
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哺乳類における内在性ウイルス様エレメントの免疫生物学
 

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真核生物のゲノムDNAには、ウイルス由来の遺伝子配列が多数存在します。これらは過去のウイルス感染の痕跡であり、内在性ウイルス様エレメントと呼ばれています。内在性ボルナウイルス様エレメント (EBLN)は、数多くの哺乳類ゲノムに内在化したボルナウイルス由来の遺伝子配列です(Horie et al., Nature 2010)。私たちは、これまでの研究でEBLNがpiRNAと呼ばれる低分子RNAを発現し、ウイルスmRNAに対してアンチセンス鎖のpiRNAを産生することを見出しました(Parrish et al., RNA 2015)。そこでこのEBLN由来piRNAによるRNA干渉が、ボルナウイルス感染の防御につながるのではないかという仮説を、EBLNノックアウト/ノックインマウスを用いて検証していきたいと考えています。また、ゲノム中のpiRNA産生領域に特異的にマッピングされた配列が、ウイルスからの遺伝子水平伝播によって進化してきたのではないかという、もう一つの仮説をバイオインフォマティクスによるアプローチを用いて検証していく予定です。
 
 

レトロウイルス

 

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RNA分子の情報は、逆転写によって容易に遺伝できるDNAの形に書き換えられます。逆転写により得られたゲノム配列は、シナプス伝達(Parrish and Tomonaga, Cell 2018)のような複雑なものを含め、多様な細胞や生物の過程(Parrish and Tomonaga, Current Opinion in Microbiology 2016) に関与しています。私たちは、1000人ゲノムプロジェクトとしてゲノムの構造変化を調べる中で、このような配列がヒトの集団に多数存在することを見出しました(Sudmant et al., Nature 2015)。私たちは、逆転写配列の哺乳類ゲノムへの影響を調べ、その機能を理解することを目指しています。

 

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