免疫細胞システム研究チーム

 

 

 

免疫系は体内に侵入した微生物などの異物の排除に重要な役割を持ちますが、同時に、個体の恒常性の維持にも重要な役割を果たします。近年、恒常性の維持機構における神経系や代謝系と免疫系の相互作用が注目されています。私たちは、マウスやヒトの代表的な脂肪組織である腸間膜にリンパ節とは異なるリンパ球集積を発見し、fat-associated lymphoid cluster (FALC)と名付けました。さらにFALCに存在し、多量のTh2サイトカインを産生する新しい自然免疫系のリンパ球を発見し、"ナチュラルヘルパー細胞"(Natural Helper (NH) Cell)と命名しました。この細胞は現在2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cells: ILC2)と呼ばれます。脂肪組織には、ILC2以外にもマクロファージや制御性T細胞(Treg)など多くの免疫細胞が存在します。脂肪組織はエネルギーの蓄積と消費に重要ですが、恒常性の破綻に伴う炎症は多くの生活習慣病の元凶となり、インスリン抵抗性を経て糖尿病の発症へと繋がります。私たちは脂肪組織における免疫細胞の機能を解析することで、代謝系と免疫系の相互作用の実態解明に取り組んでいます。